感想|言の葉の庭を見ると梅雨がちょっとだけ好きになる

雨の日がちょっと好きになる

「言の葉の庭」は上映時間46分と気軽に見れる映画でした。

物語舞台は新宿御苑
自分が行ったことある場所が舞台だと不思議と親近感が湧いてきます。

登場人物は15歳の高校生と27歳の教師

どれくらい年が離れているのかな〜とドキドキしていましたが、12歳差とわかった瞬間「報われないだろうな」とちょっぴり切なくなりました。

映画を見ていて不思議だったのは、高校生の主人公・タカオがなぜこんなにもユキノに惹かれたのか。

雨の日はいつも、会社にも行かずに新宿御苑でビールばかり飲んでいる。
…文字にするとなおさらダメ人間に思えてきます笑

美人だから?

“まるで世界の秘密そのものみたいに彼女は見える”

高校生は、いや学生は過剰に社会人をリスペクトしてしまう。きっと自分のことを話さない彼女の世界を想像しているうちに想いが募っていったのだろう。

“27歳の私は、15歳の頃の私より少しも賢くない。私ばっかり、ずっと同じ場所にいる”

大人と子供なんて、ほとんど変わらないのにね。

言の葉の庭 あらすじ

靴職人を目指す高校生・タカオは、雨の朝は決まって学校をさぼり、公園の日本庭園で靴のスケッチを描いていた。

ある日、タカオは、ひとり缶ビールを飲む謎めいた年上の女性・ユキノと出会う。ふたりは約束もないまま雨の日だけの逢瀬を重ねるようになり、次第に心を通わせていく。

居場所を見失ってしまったというユキノに、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作りたいと願うタカオ。

六月の空のように物憂げに揺れ動く、互いの思いをよそに梅雨は明けようとしていた。

雨の日の出会い

子供の頃、空はもっと、ずっと近かった
だから空の匂いを連れてきてくれる雨は好きで、雨の朝はよく地下鉄には乗り換えずに改札を出る

新海誠監督らしいちょっと文学的な表現で物語は始まる。

“雨の日は決まって学校をサボる”
なかなか真似できないルールだ笑

自分がそんなことやったら間違いなく親に怒られるだろうな。

タカオの両親は離婚して、父親も母親も子供をおいて家を出てしまった。親から大切にされていないってわかると好き放題できちゃうんでしょうね。

晴れた朝はちゃんと、地下鉄に乗り換えてここ(学校)に来る。でも、こんなことをしてる場合じゃないって思う。

この自由さは親ゆずりかもしれませんね。離婚してなくてもサボってたのかも。

タカオの夢は靴職人。

確かに明確な夢が決まっていると、学校の授業がひどく退屈なものに見えてしまうのは間違いないでしょうね。

学校の授業で習うことなんて大半が役に立たないから。

もしコナン君みたいに学生をやり直すことになったら、勉強なんてせずにひたすら自分の好きなことに時間を使うだろうな。

ところで「靴職人」ってどういう職業なんですかね?

いまの時代だと靴は工場で量産されていて、職人さんは修理専門のイメージ。完全ハンドメイドの靴ってイメージできないです。

おれが誰かに、何かに憧れたって届きっこない、叶うわけないってアンタは最初からわかってたんだ

そんな想いがユキノにもあったからこそ、タカオの最後の言葉に繋がったのかもしれないですね。

それにしてもユキノの足のサイズを測るシーンは何とも言えないエロさがありました笑

ちょっと蒸し暑い雨の日、ちょっと匂いそうですけどね

夜、眠る前
朝、目を開く瞬間
気づけば雨を祈っている

恋していることに気づく素敵な描写

「言の葉の庭」で感じたユキノの孤独

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出典:言の葉の庭 舞台探訪(聖地巡礼)

意外に不器用なんですね
これはこれで美味いですよ
歯ごたえあるし

ユキノが味覚障害だってことにもビックリしたけど、その原因にも驚いた。

味覚障害と細かい調整ができないから料理も下手になっちゃうのかな?
確かに、どうせ味が一緒なら砂糖も塩も入れなくなりそう。

味覚とか、視覚とか、聴覚とか、

普通の人が当たり前のように持っていた機能が失われたら、世界が一気につまらなくなりそうな気がする

それでね、ちゃんと味がするのその人のお弁当

心の問題からくる味覚障害は、心が癒えれば自然と治るのかな?

この人はいかにも優しそうに話す
まるで壊れ物に触れるみたいに
でも息をするのも辛かったあの頃
アナタは周りの声ばかりを聞いていて私を信じてくれなかった

“愛”よりも昔、”孤悲”のものがたり
想像していたよりもずっと孤独だったユキノ

そんなユキノに雨の日だけ現れる
自分の声を聞いてくれるタカオ

その好意に応えられないことは分かっていただろうけど、唯一の心の救いを切り離すほどの余裕はなかったんでしょうね。

あれ以来、私、嘘ばっかりだ

「言の葉の庭」は新海誠監督の等身大?

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出典:言の葉の庭 舞台探訪(聖地巡礼)

それを受け止められるほどの心の広さも15歳の高校生にあるわけがなかった。

やっぱりアナタのこと嫌いです
最初からアナタはなんだか嫌な人でした
自分のことは何も話さないくせに
どうしてアナタはそう言わなかったんですか

オレが誰かに何かに憧れたって、届きっこない、叶うわけないってアンタは最初からわかってたんだ

アンタは一生ずっとそうやって
大事なことは絶対言わないで、自分は関係ないって顔してずっと1人で生きてくんだ

告白が実らなかったあとのタカオの叫び
「青春映画は叫ばせておけばいい」って感じがして、あまり感情移入はできなかった。

ユキノを退職に追い込んだ生徒を殴りにいって、ボコボコにされて、そんな「テンプレ青春描写」が嘘くさく感じてしまった。

言葉を交わすことって大事。

わずか45分の映画だっていうこともあるけれど、あまり言葉を交わしていない男女の心が通い合っているとはどうしても思えなかった。

2人の間にそんな大きいものがあるとは想像できなかった。話さない分、想像だけが膨らんでいく。

いきなり感情が爆発したのを幼い高校生のせいにできるかもしれないけど、作り込み不足を感じてしまう。

「君の名は。」で一躍時の人になった新海誠監督だけど、この作品はまだ成長過程だったのかな?

夏が終わりやがて冬服の季節が来て、
外出の服が1枚ずつ厚くなる度に、
あの人はどうしているのだろうと思う

秒速5センチメートルを思い出す描写

歩く練習をしていたのはきっとオレも同じだといまは思う、いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら会いに行こう

タカオは等身大の新海誠監督かもしれませんね。

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※本作品の配信情報は2017年7月5日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。  

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