うーん、見なきゃ良かった…
それが映画「悪の教典」を観た後の正直な感想です。
「悪の教典」は2010年に発売されて大ヒットしたサイコ・ホラー小説。マンガ化もされているので知っている人は多いはず。
私も3年ほど前に、興奮しながら原作を読み進めていたのを覚えています。
記憶に強烈に残っていたのは「文化祭の準備で学校に残っていた生徒を皆殺しにする」というサイコ・パスっぷり。
証拠隠滅のために、教え子をひとりひとり冷静に撃ち殺していく描写に衝撃を受けました。
果たして、それがどう映像化されたのか。
怖いものみたさで恐る恐る扉をあけたものの、そこにいたのは「ただの殺人マシーン」でした。
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悪の教典のあらすじ
\こわい!こわすぎる!でも、面白い!/
『悪の教典』
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ハスミンというニックネームで呼ばれ、生徒たちから圧倒的な人気と支持を集める高校教師・蓮実聖司(伊藤英明)。
生徒だけでなく、ほかの教師や保護者も一目を置く模範的な教師だったが、その正体は他人への共感や良心を持っていない反社会性人格障害者であった。
学校と自身に降り掛かったトラブルや障害を取り除くために、平然と殺人を犯しては校内での地位を強固なものにしていく蓮実。
しかし、ささいなミスから自身の凶行が知られそうになってしまう。それを隠そうと悩んだ彼が導き出した答えは、クラスの生徒全員を殺すことだった。
(引用:シネマトゥデイ)
悪の教典で残念だったこと
この映画を見て1番残念だったのは「サイコパス・ハスミンの魅力が充分に伝わらなかったこと」です。
そもそも上下巻合計1,000ページ弱の「悪の教典」を2時間ちょっとの映画にまとめるのが無理難題でした。
大長編の他の映画を例に挙げると、「ハリーポッター」の映画も原作と比べると残念な出来ですしね。
時間が限られているので「どこを削るのか、どこを残すのか」が大事ですが、悪の教典は「広く浅く」してしまった印象です。
その結果「生徒に慕われているのかイマイチ分からない教師がうっかりミスをきっかけに、残りの生徒を無感情に殺していく」という印象を受けた人もいるのではないでしょうか。
時間が限られているため「ハスミンが証拠を残す」「完全犯罪とは思えない行動をする」シーンが連続してしまいました。
一方で、「悪の教典」の長所である「サイコパスならではの心理」がほとんど描かれませんでした。
悪の教典 前半
前半のトピックは
- カンニング騒動と妨害電波
- セクハラされたミヤを助け、肉体関係をもつ
- 美術の久米先生と前島の関係(ゲイ)
- モンスターペアレントの自宅が全焼&焼死
- 学校裏サイトとあっさり殺される蓼沼
- ハスミンの過去に迫り、殺される釣井先生
- 同じく盗聴器に感づき消される速水圭介
うーん、濃いですねえ。
淡々と羅列しただけでこのレベルですもん。前半から殺しまくってますね。
前の職場・都立北原高校では4人が自殺とのことですが、明るみになっていない事件もありそうです。
これでも原作からはかなり削ってますが、内容がフルボリュームなので、説得力が薄いシーンが目立ちました。
まず、肉体関係を持ったミヤは惚れるの早すぎ笑
久米先生と前島の肉体関係もいきなりバレましたし、モンスターペアレントや蓼沼に関しては何で殺されたのかよく分からない人も多かったのではないでしょうか。
釣井先生を殺すシーンも人目につきすぎですし、アレを自殺だと誤認させるのは無茶があります。
原作では一連の出来事に対するハスミンの心境が丁寧に描かれています。
「どうすれば自分に疑いの目が向かずに殺せるのか。」
原作ではハスミンのサイコ・パスっぷりがよく伝わるのですが、映画では「証拠を残しすぎるうっかりさん」に成り下がっていました。
とにかくシーン多すぎ&登場人物多すぎで、ハスミンが生徒&先生に慕われている様子が分かりづらい。
先生方から慕われているような雰囲気はありましたが、対生徒に関しては、疑われるような、信頼を損ねるような描写が続きます。
それでも、速水圭介をまったく心を動かさずに拷問する様は見事でしたね。普通は心が痛むと思うんですが。
あのシーンの人間離れした感じはExcellentでした。
悪の教典 後半
「早く大量殺人シーンに進まないかな?」とおっかなびっくり待っていましたが、映画後半はさらにガッカリの出来でした。
もちろん原作を知らずに映画だけを見た人は、過去に例のない「高校生の大量殺人事件」という設定が斬新だったと思います。
でも、原作を読んだ人からすると、悪の教典の最大の魅力は「生徒を”ひとりも逃さず”銃殺するハスミン」vs「自分の武器を最大限に生かして対抗する高校生」の頭脳バトルだとわかっています。
原作でハスミンに1番恐怖を感じたのは、生徒を”ひとりも逃さず”撃ち殺すために冷静な思考回路。少しの失敗も許されません。
しかし、その思考回路が映画では全く描かれませんでした。実際、1人脱出に成功していますしね(校舎に戻ってきちゃいましたが…)
妨害電波や校内放送、最初に職員室で待ち構えていたシーンを除き、ハスミンは校舎内を淡々と歩き回って出会った生徒を殺していくだけ。
ほとんど工夫はありませんでした。頭脳で殺していくというより、猟銃の腕前だけで殺していく。これではサイコキラーではなく殺人マシーンですよ。
生徒もハスミンに出会ったら恐怖に震えて泣き叫ぶだけでした。あまりに無抵抗。
もちろんそれが高校生の正常な反応かもしれませんが、一方的に無抵抗な相手をいたぶるだけでは、見応えがありません。
工夫して対抗してくる高校生を冷静に冷静に刈り取っていく。そんな描写が見たかった。
原作「悪の経典」ではハスミンのサイコパスっぷり(異常な思考回路)が際立っていました。
生徒の心をあやつったり、生徒に絶望を与えながら追い詰めていく様子が人間を超越していて、ある意味カッコ良いとまで感じました。
悪の教典の映画では「ハスミン=恐怖の存在」に仕立てようと徹底していたんですよ。伊藤英明の名演技もあって、超怖かったです。
でも、それだと物足りないんです。原作「悪の教典」で私が震えたのはその異常な思考回路なんです。
悪の教典 ラストシーンは鳥肌モノ
とはいえ、捕まったあとのハスミンの演技は鳥肌モノでした。
チッチチー、チッチチー
お決まりの音楽をバックに、手錠を掛けられながら口笛を吹きながら踊ってるシーンはめちゃくちゃ怖かったです。
二階堂ふみの「違う、コイツもう次の啓蒙始めてやがるんだ」という言葉も恐怖感たっぷり。表情もすごかったですね。
このラストシーンはハスミンのサイコパスっぷりを強烈にアピールしてました。悪の教典の試写会終了後、伊藤英明が登場しただけで悲鳴が上がったそうです。
マジで、この映画を見た直後にハスミンに近づかれたらちびりますよ。
最後に
やっぱり2時間映画じゃハスミンの恐ろしさが伝わらないなーという印象です。クールなサイコパス・ハスミンが見たかったので、そこが本当に残念。
原作を見た人には物足りなくて、映画を見た人には説明不足。
うーん、やっぱりハスミンの格をとことん下げた映画という印象が強いんですよね。ミスばかりが目立った。
見たことがないものを見たい方、よっぽど伊藤英明が好きな方を除いて、悪の教典の映画版はあまりオススメできません。
原作のサイコパスっぷりは完璧なので、ぜひ原作をご覧ください。
小説「悪の教典」が好きな人と、映画「悪の教典」が好きな人はジャンルが違うと思います。
映画よりはマンガ版のほうが良いですね。
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※本作品の配信情報は2019年8月3日時点のものです。配信が終了している、または見放題が終了している可能性がございますので、現在の配信状況についてはdTVのホームページもしくはアプリをご確認ください。
☓コイツもう次の啓蒙始めてやがるんだ
○コイツもう次のゲームを始めてんだ
じゃないでしょうか。